吉川ビジネスシステムズ【YBS】

電子書籍のいまを知るB

今回は電子書籍のトピックとしてグーグル社とアメリカの著作者団体の間で起きた訴訟を取り上げます。 これはグーグルが著作者の断りなく書籍の電子データ化を行ったものです。

著作権者の許可なく書籍内容を電子データ化

ネットサービス事業者のグーグルが2004年にはじめた事業「Google Books」は、紙の書籍をデータ化しネット上で公開する書籍検索サービスです。
著作権が有効な書籍などについて一部を公開、著作権が切れた書籍については全文を公開します。グーグルは公開ページの広告収入及び電子通販で収益を得ます。 著作権が有効な書籍について、電子通販の売上の一部、及びその書籍が掲載されているページの広告収入の一部を権利者に渡すとしています。

このサービスについてグーグルが著作権者の許可なく書籍の電子データ化を行っていたため、2005年にアメリカの著作者団体が訴訟を起こしました。 訴訟での決定内容は日本を含む諸外国でも適用されるものであったため、世界中の注目を集めました。
最終的には和解することになりましたが、作成された和解案では不利益を被る人が多かったため、裁判所が修正を要請。 しかし修正案も問題点が多く、裁判所が承認しませんでした(当件は多くの関係者に影響する性質の訴訟なので、裁判所が和解の承認/不承認を判断しています)。

2012年現在問題は解決していません。

和解案と問題点

■和解案(一部)
グーグルは書籍のスキャン・公開権を持つ。
著作権者は、スキャンされた書籍データの消去申請権を持つ。

■裁判所の指摘した問題点(一部)
グーグルの権利は和解成立と同時に有効になる一方で、著作権者の権利は新設される権利処理機関に当事者が個別に申請しなくては有効にならず、不公平。
またグーグルは権利者不明の書籍の利用を独占的に行うことができる点が問題。

グーグルによって電子書籍流通の仕組みが作られる?

当件は電子書籍サービスに直接関連するものではありませんが、非常に近接したテーマです。
グーグルが和解案として提示した条件には一方的であると捉えられかねない点がありました。当初これは日本でも適用されるものでしたが、 その後の修正案で日本は対象から外れることになりました。 しかしこの一連の騒動からは、海外の情報通信サービス事業者主導により国内の新たなコンテンツ流通の仕組みが作られる事態が想起されました。 出版産業には社会の知識基盤を担っているという特質があり、出版関連企業、業界団体、政界とも強い危機感を覚えました。
この問題を受け、現在業界団体・政府主導による新たな流通の仕組み作りが始まっています。

「電子書籍のいまを知る」目次
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■参考・出展
「平成21年度コンテンツ取引環境整備事業」(三菱総合研究所)/「情報管理」2009.10月号(独立行政法人科学技術振興機構) / 「日経パソコン」2012.10.8号/ webメディア「マガジン航」/webメディア「dacapo」(マガジンハウス)/ webメディア「INTERNET WATCH」(インプレス)/ webメディア「ITmediaニュース」(アイティメディア)/ webメディア「ダイヤモンドオンライン」(ダイヤモンド)
【記載:2012.12 玉置智法】



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